4月30日(月) 大切なこと

3ヶ月ぶりのYUKIE’S MAILです。皆さまお変わりありませんか。
ゴールデンウィークを、いかがお過ごしでしょうか?
私は 5月19日の“BIRTHDAY PARTY”に向けて、楽しく準備を進めています♪

でも実は…。「30名も募集したけど、そんなに集まらないだろうな…」と心配で、告知をした日からしばらくは、あまり眠れませんでした。朝、目覚めると先ず頭に浮かぶのは「何人の申し込みがあったかな…」ということ。意外と心配性でしょ? そうそう、普段あまり夢を覚えていない私が夢も見ました。パーティ会場には私を含め、3〜4人くらいしか居ない夢(T0T)。でも、順調に応募があると管理人さんから聞いて、やっとホッとしています。
まだ準備段階ですが、皆さまにご参加いただけるようにと考えていますので「もう定員かな?」と心配なさらずに、どうぞご応募ください。お待ちしています!

さて、やっと心も落ち着き、4月の公演のお話しをすることが出来ます。
今回の『白鳥の湖』と『ドン・キホーテ』も、それぞれの主演者たちの最高の演技によって成功に導かれ、バレエ団も一丸となった舞台をお見せできたように思うのですが、いかがでしたでしょうか?

私もこのところ、一つまたひとつと大好きな役どころを演じる機会に恵まれ、体調も良く、集中して舞台を務めてこれたと思います。昨年、自分の歩む道について考え、ある程度の方向性が見えてきたせいか、舞台に立てる自分を愛しく思うようになっているからかも知れません。
今回演じた『白鳥の湖』の“スペインの踊り”、『ドン・キホーテ』の“メルセデス”と“若いジプシーの娘”は、私にとって踊り慣れた役ではありましたが、だからこそ多くのことに気付かされ、心に深く残る舞台となりました。

これまではダブルキャストの後輩に、振付家から受けた注意やステップの意味などを言葉にして伝えてきました。そうすることで私自身も初心に戻り、一緒になって役作りや舞台作りをしてきたように思います。でも今回は、後輩との考え方の相違があり、このような作業をせずに本番を迎えることとなりました。それは私にとって、とても寂しい経験でしたが、そこから学んだのは今の私に足りない、大切なことだったと思います。

「舞台に完璧はない」「バレエには終わりがない」…このことは、充分理解しているつもりでした。自分の体ひとつをとっても、必ずどこかに故障(小さな痛みも含めているので、ご心配は要りません♪)を抱え、練習も充分にやったと言えることはなかなかありません。踊り慣れているからこそ 気をつけなければならないことがたくさんある事、もう手取り足取りの教えを受けられる立場でないこと、そしてその中でどう成長していくかは自分次第だと言うことも分かっていました。
「後輩と関われないのなら、自分の踊りに集中していこう」そう言い聞かせましたが、心はそんなにあっさりと自分だけに向いてくれませんでした。

日々の葛藤はありましたが、リハーサルは楽しいもので、スペインもメルセデスも、パートナーや仲間と共に良い舞台を作るために動いている時は、本当に嬉しい時間でした。踊る度に芝居が変わり、相手も変わり、スタジオ全体の空気が変わっていく。初役のみんなもどんどん役を場に馴染ませ、新しいカラーが生まれていく…その瞬間に参加し、また見ているのはとても興奮しました。団員はみんな、踊ること・演じることが好きなんですよね♪私も同じでした。個々に何があっても、これだけは不変なんだろうな。
こうして、今の自分に出来る最善を尽くしたつもりで、劇場入りの日を迎えました。

先ずは『白鳥の湖』です。ポリーナ・セミオノワさんとフリーデマン・フォーゲルさんは、お若いのにいつも物静かな雰囲気で、しっとりと団員の中に存在していました。
私は3幕だけの出演だったので、後輩達に時折気付いたことを伝えながら、自分の出番を待つような感じで過ごしていました。
無事に初日を終え2日目を迎えましたが、その日は空き時間が長かったので、ある方とゆっくりとお話しをする機会を持ちました。舞台のことやバレエの話しをしていると、途中でドキッとするような言葉をいただきました。「幸江ちゃんの輝きには、まだ先があると思う…舞台の上では先輩だなんてこと、関係ないのよ」と。
私は知らず知らずのうちに、リハーサル中だけではなく、本番でも後輩を引っ張ろうとし過ぎていたのかも知れない…と気付かされました。一緒に踊る仲間も大切だけど、そこで留まっていてはいけなかったんだ。
ずっと私を見守って下さっているその方は、本番で踊る私を見て、何かを感じていたのでしょう。優しい言葉で、けれどしっかりと私を戒めて下さいました。

楽屋に戻り、静かに自分を省みていくと、私にはまだやりたいことがたくさんあると気付きました。確かに私は“スペインの踊り”を何十回も踊ってきたけれど完璧ではない。前回の公演の時も、(ちょうどスペインの踊りを大学で学んでいた)齋藤友佳理ちゃんに、「もっと体をクロスするように踊ってみたら?」などと、アドバイスをもらっていました。言われていることは良く分かり、何度も練習はしましたが、目に見える変化まではもっていけなかった。そのように、頭では自分もまだまだだって理解していたけれど、実際にそこに停滞している自分が、はっきりと感じ取ることができました。

そして、自分の驕りを恥じました。
言葉で伝えるだけではなく、いつまでも役に対しての執着を持って取り組む姿を見せることも、後輩を導く手段なのです。

衣装を身につけ、出番よりもかなり早い時間ではありましたが、劇場内にあるリハーサルスタジオの鏡に向かって、ポーズや動きをチェックしました。扇子の使い方やスカートさばきなど、何度も同じ動きをくり返し、念入りに自習しました。これまでも同じようなことはしてきましたが、こだわる場所が違っている自分に気がつくと共に、そういう時間こそが、私の大好きな時間だったと、正に初心に返れたように感じました。
でも、本番2日目にしてそんなことを始めたものだから、たまたまスタジオ内に居た(後藤)晴雄くんから、「幸江さん、今日誰か観に来てるの?」と聞かれる始末。(笑) おいおい〜「今さら“好きな人が観に来てるからぁ♪”なんて理由で、自習を始めたりしないよぉ〜^^;」と私。「そりゃそうだよね!」と爆笑し合いながら、晴雄くんには少し自分の思いを話ました。彼はいつもとても真面目に私の話を聞いてくれます。そして「良かったね」と言ってくれました。

単純かも知れませんが、その日の舞台の楽しかったこと!一緒に目を合わせて踊る仲間と作りだす空気の心地よさ♪ 引っ張るんじゃなく、一緒に踊ることの喜びを感じました。すると、踊りの途中から目を合わせる(平野)玲ちゃんの、グッとたくましく成長した視線が、私の“上”から注がれ、「リードされてる♪」ということに気付き、とても頼もしく嬉しい気持ちになりました。以前から玲ちゃんは「僕は、カズさんと幸江さんの視線の絡み合いが大好きで、見るたびに鳥肌が立っていたんです。だから自分がそれをやるのかと思うと…」と非常に心配していて、始めのころは体も表情も堅く、ちょっぴり踊りにくかったっけ。けれど今回しっかり成長していた玲ちゃんは、私を体全体で受け止め、さらに私をノセてくれるような目を向けてくれていたのです。後輩に、引っ張られました。

今年はまだ何度か『白鳥の湖』の公演予定があります。まだキャスティングされるか分からないけれど、踊れるならば次回も最善を尽くして踊りたいと思っています。まだまだ、上を目指して!

スペインを、若返ったような気持ちで踊りきり、さあ次はメルセデス!もう迷いはありませんでした。
相手役の“エスパータ”を演じるカズくん(木村和夫)とは、お互いに本番だけにとっておいた雰囲気や仕草を、余裕を持って楽しみ合える…そんな心許せる間柄。本番の前日のリハーサルでやっと「ここはこうしたいんだけど、良い?」と言葉にしたり、一切断りもなく、本番中に自由な演技で関わっていたところもありました。でもそれはお互いに信頼関係があるからできることです。私も大らかな気持ちで踊っていたから、本番で剣が刺さらずに倒れたのも気にならないくらい、舞台で起こること・起こすことを純粋に楽しんでいました。
今回のエスパーダとメルセデスは、ちょっと濃い大人の雰囲気で愛し合う姿を表現してみたのですが、いかがでしたか?('-'*)。メルセデスは出番も多かったせいか、踊り終わってから舞台袖に入った時の清々しさは、格別っ!こんなに高揚したのは、久しぶりでした。

ところが一転、翌日に演じた“若いジプシーの娘”は違いました。なぜなら、出番の直前まで、踊りの振り付けすら思い出せないくらい頭が空っぽになってしまったからです。振りを思い出そうと焦っても仕方がないことは分かっていたので、舞台袖で仰向けになりながら、ただじっと天井を見つめていました。すると頭が空っぽなはずなのに、涙が出てくるのです…。「今泣いてどうするの!」と諭す自分が居て、瞬きをたくさんして涙を流さないように気をつけました。でも涙の理由は「私の運命はどこに向かってるんだろう?どうしてこんなに報われないの?いつまで孤独に耐えれば良いの?」という嘆きからでした。すると「泣いてどうする」と言った自分が、今度は「あ〜、ジプシーになっていたのね」と安心したように胸に落ち着き、私は一人の人格“若いジプシーの娘”になれたような気がします。こんなこと書くと、作り話しに聞こえるかも知れないけど本当の話し。本番前(本番中も?)のダンサーって、アブナイかもね(汗)
舞台上では、ただ音楽が心地よく聴こえ、体と顔の皮膚から“私”という何者か分からないエキス(?)のようなものがにじみ出てくるような感覚がありました(あ゛ー変な例え(ToT)ごめんなさい)。正直今でも、どんな風に踊ったのか思い出せません。この連休が明けたらビデオを見るつもりでいます。。。

こうして舞台に立ち続けて21年、何度もくり返し踊ってきた役はたくさんあります。でも続けて来たからこそ感じられることもたくさんあるように思います。
そしてこれまでに関わって下さった方々や作品との出会い。支えて下さっている皆さまへの感謝の気持ちが、止め処なく溢れてきました。

これまでも何度もこのような思いを文字にしてきましたが、何かしらの形にしたいと強く思うようになり、今回のパーティを企画したわけです。パーティを企画するにもたくさんの方々がお手伝いをしてくれています。
人は…一人では何も出来ないんだよね!いつもいつも「ありがとう」なんだと思います。

5月19日…感謝の気持ちをお伝えするには短い時間ですが、皆さまとお目にかかれるのを心待ちにしております。そしてファンの方同士の出会いの場となり、語らいの時となれば更に嬉しく思います。
大したおもてなしは出来ませんが、皆さまに楽しんでいただけるよう頑張ります(^o^)/

パーティの模様は、また後日、この場にてご報告させていただきます。
ご参加下さる皆さま、お目にかかるのを楽しみにしています♪

                                      幸江より