3月12日(日) サー・アンソニー・ダウエルのカラボスすっかり春ですね!清々しい晴れた日!今日は私の決戦の日♪です。 さて先日、Kバレエカンパニーの『眠れる森の美女』の公演を観てきました。ダウエルさんがカラボスだなんて、そんなのあり?!?!胸も足も踊らせて行ってきました。 なぜそんなに、ダウエルさんのカラボスに反応するかと言うと、私が初めてカラボスの役をいただいた時、様々なビデオを探したけれど、女性カラボスが踊るものは、東京バレエ団以外ではみつかりませんでした。そこで男性が女装して演じるものをたくさん見ました。でも私の持っているカラボス像と交わるものがなかなか見い出せなかった。そんな中、ダウエルさんの出演しているビデオに出会った時の衝動はすごかったの。画面に現れた瞬間「これだ!」と思いました。そこには“男性が女装している姿”ではなく、“カラボス自身”が居たからです。 もちろん、私が納得のいくカラボスを踊れたのは、溝下司朗先生のご指導が一番大きかったけれど、リハーサル以前に私の中で「これがカラボスだ」とイメージしていたのは、何を隠そう“ダウエルカラボス”だったのです。でも決して彼を真似ようとか、取り入れたいという意味ではありませんでした。ただ、ダウエルさんのカラボスを観て自分が演じるのと、観ずに演じたのでは、きっと心が全く違ったと思います。良いものをどう取り入れるか…それだけが役作りじゃないことを知ったのも、この時でした。 「では東京バレエ団版ではどう演じる?」。演出の違いから、対比するものが出来て、私は「女性特有の美しさの中に秘めた怒り」や「動きの中で周りの目を釘付けにするような威圧感」、「カラボスだって美しい妖精と捉えても良いんじゃないか?」などのヒントが、次々に思い浮かんできたのです。これはダウエルカラボスと出会えたから。あの作業は楽しかったなぁ!でも悪事が次々と浮かんでくるから、「私ってどうよ?」と思ったけど(笑) それから司朗先生に何度も何度も教えていただきながら、リハーサルを積み重ねていくうちに、漠然とだけど“私のカラボス”が見えてきたんです。初役の舞台の時は、どこかで「これで良いのかな?」という不安がほんの一点のシミのように心に残り、一度舞台に上がってみて初めて自分の色に染められたような感覚になる事が多いけど、ダウエルさんと司朗先生のお陰で、私は初めから、舞台で自由になれた。バレエ団に入って初めて、踊りながら「もっと舞台に居たい!」と思えた役なんです。そう思っている自分に鳥肌が立つような、一瞬だけど、井脇カラボスと私自身が体の中で2人存在しているような瞬間があった。それまでは若かったこともあるけれど、「早く踊り終えて楽屋に帰りたいよ〜」なんて情ない思いもあったから、自分の変化に驚いたのもこの時です。 その後、何度も舞台を重ねていくうちに、あれもやりたい、これもやりたいと、試していったけれど、去年の8月、久しぶりにカラボスを演じることになった時は、不必要な思いは削ぎ落とされ、ほとんど役作りらしいことは考えず、音楽に身を任せるように踊りました(若いテシタたちには苦しめられたけど^^;)。やっと今、カラボスと自分が一体になり、私自身が“井脇カラボス”を客観的に見られるようになったような気がします。今の願いはね、自分が踊る舞台を客席で観たい。。。そんな気分です。 そう考えると、ミルタはまだそこまでいけてない。舞踊技術がとっても難しい役だからというのもあるけれど、まだまだ出来ることはたくさんある。今は毎日「どう踊りたい?」と、自問自答を繰り返し、テクニックについては練習し、演技に関しては思いをめぐらせています。でもミルタはカラボスとは違い、舞台上で主演の2人との会話(マイム)があるから、主演者の要求によっては解釈を変えなければならない。そこが大変だけど、新たな発見があって刺激になる。自分が目立てば良い訳ではない。これが脇の分。そして醍醐味! バレエって、面白いよ♪ でもその面白さは踊る側だけじゃなく、観る側にも特別なものはたくさんありますよね?私はバレエに限らず、生の舞台を観るのがとても好きなんだけど、生身の人間がそこで命を燃やす姿には心底感動します!観客の立場の場合は、舞台上で多少の失敗やアクシデントがあっても、演者が集中していれば、全くと言って良いほどその失敗は気にならない。私が観たいのは“上手くやろうとする姿”ではなく“舞台で生きている姿”だから。 今回、Kバレエカンパニーの舞台を観て、全幕ものを団員が全員で作ることの難しさと“個”の重要さを強く感じました。これは、ただひたすら自分の役を自習しているだけでは見えないもの。舞台人こそ、練習に明け暮れるだけではなく、生の舞台を観なければ成長はないと思う。成長は、人から与えられるだけじゃないものね?自分の目と心を磨くのは、自分なんじゃないかな。 今、とても心が充実している。Kバレエカンパニーのみなさん、ダウエルさん、ありがとう。このままの状態で『ジゼル』の舞台に参加したい。東京バレエ団の小さな一団員として。 幸江より |
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