5月7日(土) 恋するヘレナはピンク色?

お元気ですか?ゴールデンウィークも終わりですね。

とうとう、『真夏の夜の夢』の本番が終わってしまいました。沢山練習したから「終わっちゃった」という気持ちです。久しぶりに初演する作品と出会えたことで、気持ちは新鮮だったけど、これまで演じてきたものと作風が違った為に、戸惑ったり新しい事を発見したり、問題点もドカーンと大きく感じた舞台になりました。舞台を観てくれたみんなは、どんな事を感じたんだろう?また聞かせて下さいね。

実は…公演が終わるまで、みんなに言えなかった事があります。。。
「なんでヘレナちゃんの衣装は、どっピンクなの〜〜(/□≦、)」

舞台をご覧になった方は、私がピンクのドレスで走り出た時、ビックリしたでしょ?
「はい、これがヘレナの衣装よ」と衣装スタッフに手渡された時は、その色を見て一瞬固まりました。(゚o゚;; 今回はバーミンガムのロイヤルバレエ団のを借りたそうで、衣装自体も大きめだった為に、初めて着た時は、まるで七五三。。。後で聞いた話しでは、池ちゃん(仲の良い衣装スタッフ)も、「幸江ちゃん、着こなせるか心配だったんだ」って。でも、「メイクして頭にリボン乗っけたら大丈夫だった」って。「大丈夫」って何よぉ^^;。
このところ、エフィー、ヘレナと可愛らしい役が続いたせいか、みんな「大丈夫だよ♪」って言うのよね。はじめは私も「そう?大丈夫かなぁ」と返してたけど、よくよく考えてみると…大丈夫ってことはよ?似合ってないけど、何とかなるよ、って意味じゃない?と気がついてしまって、「大丈夫禁止令」を発令しました。舞台袖で後輩と目が合って、ニコッとされると、「今笑ったでしょ〜( p_q)」ってつい言っちゃう。「え?考えすぎですよ」って言われるほど、相当な被害妄想にかかってたみたい(笑)大好きな人を一心に追いかけるヘレナちゃんは、心も衣装もピンク色…だったのかな?。

さて、冗談はさておき、今回感じた事を…。
全体を通して発見したのは、やはりトリプルキャストの豊かな個性だと思う。私が出演していない日は客席から観たんだけど、みんなそれぞれが個を出せているように感じました。主演のタイターニア・オベロン然り。パック、ボトム、ハーミア、ライサンダー、デミトリアス、そして私が演じたヘレナ。バレエ団側が決めたキャストはさすがに適材適所ではあったけど、誰もが誰にも似ていない、独自の表現をしているように見えました。これまで、後輩達がどう育っているのか、正直ちょっと不安な気持ちもあったけど、今回の公演ではそれが期待へと変わりました。
(平野)玲くんの芝居心。おさる(氷室)の勇気。(古川)和則のエネルギー。そして、新人(松下)裕次の清々しさ!その他のみんなも、本当にお疲れさまでした。

中でも、私が一番感動したのは、裕次の演じたパック。入団3年目の大抜擢でした。
彼はバレエ学校から入団してきた数少ない後輩。入団当時からピルエットのキレの良さは抜群でした。ポジションの立ち方などを教えた時も、「ピルエット回ってる時が一番楽です」と答えるほど軸がしっかりしてて、力みが無くて、これは宝物だと感じていました。だからキャストが発表になった時、私はとっても嬉しかった!
本番直前、ちょっとしたダメ出しと共に「のびのびやりなよ?」と声をかけました。終演後、客席を飛び出して舞台袖に向かい「良かったよ!」と声をかけると、感極まっていた。こういう初々しさって素敵。

せっかくなので、裕次からのコメントを紹介します。
「正式キャストが発表された時は、本当に驚きました。でもこんなビッグチャンスは二度と来ない!と思って、全力でやろうと決めたのですが……リハーサルを重ねるごとに、ソリスト役を演じることの難しさ、責任の重さを痛感し、思い悩む日々が続きました。ソリストの先輩方が、今まで以上に遠い存在に見えましたね。
そして本番当日、とにかくパックになりきって、楽しんで踊ろうと思って舞台に挑みました。今までで一番しんどくて、死にそうになっていたんですが、まぁ死んでもいいかな、と開き直って踊っていたら、急に楽しくなってきて…(笑)あの時のカーテンコールは、今までの僕の人生の中で最高の瞬間でした。
今は、振付指導してくださった、アンソニー・ダウエルさん、クリストファー・カーさん、先生方、頑張ってね!と応援してくださった、幸江さんをはじめとする先輩方や、仲間達に感謝の気持ちでいっぱいです。そして、こんな僕に、あたたかい拍手をおくってくださったお客様にも、心から感謝します。本当にありがとうございました!」

そして彼に送った私からの言葉はこうです。
「この成功を本物にするか、幻にするかは、これから決まるから、来週からまた謙虚さと自信を上手くバランスとって頑張ってね!」

自信を身につける事と、謙虚さを持ち続ける事はとても重要で、難しいけれど…感謝の気持ちがあれば、決して天狗になる事はない。踊れる事に感謝。役がこないからと言ってスネたって、何も始まらない。若いダンサー達には強い精神力と、感謝する謙虚な気持ちを持ってもらいたいな。「自分が踊るのが当たり前」そんなダンサーの踊りは、私は見たくないもん。

そして私は今回ドカーンと感じた問題点と、これから戦わなくちゃならない。良い舞台を作るために。みんなの心に、ひとつでも多くのシーンを残してもらうために。。。

                                      幸江より