4月9日(土) 『真夏の夜の夢』

毎日暖かいですね♪東京の桜はいま正に満開!皆さんお花見はしましたか?バレエ団の近くの目黒川沿いの桜並木は、毎年とてもきれいに咲くので、昨日はリハーサルの合い間に見に行ってきました。それからちょっと先の週末に、二日間特別講師として長野のバレエ教室に教えに行くんだけど、初日の夜にお教室の先生やそのご家族に連れられて夜桜を見に行ってきます。久しぶりに会う生徒の方々との再会も夜桜も…今から楽しみ!
さて、お待たせしました!『真夏の夜の夢』リハーサル裏話を…。
東京バレエ団の次の舞台は、今月末から始まる「シルヴィ・ギエム〈愛の物語〉」のAプロで上演されるフレデリック・アシュトン振り付けの『真夏の夜の夢』。現在はそのリハーサルの毎日です。
振りうつしは、3月中旬に10日間ほどリハーサル期間を設けて、英国ロイヤル・バレエ団から、アンソニー・ダウエルさんとクリストファー・カーさんが来日し、指導して下さいました。この作品を初演なさったダウエルさんは主にタイターニアとオベロンを、カーさんは群舞とその他のソリストを、舞踊譜を見ながらとても細かく、正確に指導して下さいました。私はヘレナを演じる予定なので、カーさんの指導を受けました。彼はとても元気でとにかく的確。何を聞いてもきちんと答えが返ってくる。非常にプロフェッショナルな方でした。でも、こちらが皆で必死でカウントを数えながら動きを音楽にのせていると、「ア゛ァァァァ〜〜<(゚ロ゚;)>〜〜!」と奇声を発しては音楽を止めるんです。「な、何ごと??」と思うと、カウントミスだと言うんです。ほんの1カウントでもずれると、もうお芝居がかみ合わなくなる。だから余計な事をせず、シンプルに演じろとおっしゃる。でもその奇声が面白いの!英語で言う「Oh〜!My Go〜d!!」と同じニュアンスの大袈裟な言い方で、この世の終わりが来たみたい!その奇声にはみんな大笑い。でも真剣な稽古場がパッと明るくなるから、ミスしても「間違えた」と非難された気にはならず、「もう一回やらせて!」と、グングン前に引っ張られていくよう。だから失敗をちゃんと自覚するし、上達していくことも実感出来て、こういう指導の仕方って、理想だな…と思いました。やっぱりこういう仕事って、先生と生徒の関係じゃダメ。作品を作る“仲間”として、ちゃんとコミュニケーションが取れないとね!
10日間しかなかったのに、すごい勢いで振りうつしされたものだから、いつの間にかトリプルキャストとも踊らされていて、最終日は「はい、あとは踊りこんでおいてね」と言い残し、笑顔で帰国されました。カーさん(男性だけど、みんな「母さん」と親しんでいました)、また是非お会いしたいです!

私の演じるヘレナという女性は、振り向いてくれないダーリン、デミトリアスを追いかけまくります。かわされ、突き飛ばされてもめげない。でも知らぬ間に(魔法の媚薬のせいですが)ライサンダーから告白されたり、デミトリアスも突然求婚してくる。ライサンダーの恋人ハーミアからは恋敵と勘違いされて突き飛ばされ、女同士のケンカが始まる…といった2組の恋人達の感情が音楽にのって、時にコミカルに表現されています。トリプルキャストだから、12人がスタジオの中でところ狭しと駆け回っている様は、これまでのバレエ団とは違う雰囲気をかもし出していて、なかなか面白い。リハーサル前のウォーミングアップに「ランニング」なんていうのも増えたしね。ほんの20メートルくらいなんだけど、いかに小走りで追いかけるか…の練習。これ、結構大事。なんと言っても、カウント7で飛び出して3でデミトリアスに気づき、6で追いつき7でポーズ…だから忙しいの!でも数えてばかりでは舞踊にはならないし、変に足並みが揃っちゃう。それに勢い任せにお芝居をすれば、単なる3枚目に見えてしまう。。。私はヘレナの一途な女性らしさも出せたらいいな…と思っているので、音楽を聴き込んでカウントを頭から消し、音符にのせて演技が出来る様になりたいな。時々私にとって、カウントが音楽の邪魔をする時があるんです。教える側にとってはカウントの方が伝えやすいけど、踊る身としては、そのカウントが音楽の邪魔をする時があるから、ココから先は踊り手の力量。「振りをカウントにのせてハイおしまい」なんて、絶対にイヤだもんね。
ハーミア役の(小出)領(子)ちゃんには「私を先輩だと思わずに、ちゃんと突き飛ばして良いからね?じゃないと芝居がウソになっちゃうから」と伝えました。でないと、突き飛ばし難いかな〜?と思ってね。でも(日ごろの恨みでもある?も、もうちょっとお手柔らかに^^;)と思うほど、しっかり突き飛ばしてくれるようになりました(笑)。領ちゃん、その調子!

ボトム役では男性ダンサーがトゥシューズを履いて踊りますが、これが大変。先ずはくつ選びに時間がかかっていました。バレエ団の女性ダンサーたちが入れ替わり立ち代り、トゥシューズの選び方やはき方、立ち方を伝授。彼らは今までは見向きもしなかったのに、トゥシューズを履いている女性の足先をジーっと見つめたり、ポアントクラスを受けたり、近頃は肩からトゥシューズをぶら下げて歩く姿が板についてきました。「これからは仕事先で女の子に優しくなっちゃいそうです」とは(平野)玲くん。「女性達はこんな痛い思いをしてたんだ?」と女性を尊敬の眼差しで見る(高橋)竜(太)。「マメがむけました!」と困ったような一人前になったような顔をして訴えてきた(氷室 友)お○る(←本人の了承を得ていないので、呼び名は伏せます^^;)しかも昨日声をかけたら「外反母趾が痛いんですよ〜」と。男性が外反母趾?とちょっと笑っちゃった…ごめんね。このボトムは愛嬌のある役です。でもこの3人はなかなかの役者で魅力的で、私は大好き。応援してるよ、頑張ってね!

他にも、テクニックをバリバリみせながら軽やかに舞台を引き締めるパック(古川和則・中島周・新人の松下裕次)など、魅力的な役どころがいっぱいです。各々が舞台の上で個性を発揮したら、きっと楽しい舞台になると思います。シルヴィの『マルグリッドとアルマン』はもちろんですが、我々も観客の皆さまに、今の東京バレ団ならではのキャストを楽しんで頂けるよう、頑張ります。あ〜、3日間観てもらえたらなぁ…。