1月22日(木) 若葉

昨年から、お芝居を観るのが大好きになってしまって、バレエよりもお芝居を観る事の方が多くなっていました。でも、やっぱりバレエも見なきゃ!と、今年は谷桃子バレエ団の『ドン・キホーテ』を皮切りに、東京シティバレエ団、スター・ダンサーズバレエ団を立て続けに観に行くつもりです。でも、やっぱりお芝居は止められない!東京バレエ団の『ボレロ』や『THE KABUKI』の時にエキストラとして参加してくれた時にお友達になった、若い俳優達からのお誘いを受けて、母と一緒に「JAM SESSION.3」の『四谷怪談』(鈴木欣兵衛くん出演)を観に行ったり、明日から始まる「イメージの劇場」の『テンペスト』(シェークスピア原作)(遠藤昌宏くん出演)を観に行く予定です。

お芝居は当然だけど“台詞”があるところが、バレエと最も違うところです。最近はバレエでも声を発することがありますが(この私も台詞経験者^^;)、この声と言うのに私は非常に惹かれます。声音の好き嫌いもあるかも知れないけれど、何て言うのかな?声こそが、演じる者の心が直接私の心に触れるような気がするんです。もうビンビンくるの。例えば立ち振る舞いや表情が少しくらい不自然でも、声が文句なく心に届けば、私はその役者さんに惚れちゃいます。女優さんも然り。まだ、この人の声が素敵!って断言できるほど、舞台を観た訳ではないから、個人名は控えさせて頂きますが、私はどうも目より耳が利くみたい。
お芝居で、役者さんが身振りや表情で見せようとしても、声に心が反映されてしまうとしたら、ダンサーは動きそのものよりも、「目」に反映されているような気がします。どんなに正確にピルエット(回転)を成功させても、回っている時の表情が素に戻っていたら、私はそれを成功と認めたくない。もちろん、技術がちゃんと出来てこそ表現だし、成功させる事はとても大切だけど、例えばそれが喜びを現しているのに、真顔で回ったって意味はない。だったら嬉しそうな表情のまま、失敗しても次に繋がっていくような踊り方をする人に、私は魅力を感じます。
見せようとする裏にある本物の心。それが物語りや音楽にのってこそ、人を感動させられるんじゃないかな?でもそれって、神業に近いのかも知れない。人間だもの「よし、もっとココでこうしてみよう」とか「次はこうやって舞台に出よう」とか、考えるのが普通ですものね?私も未だにそうやって捉われたまま舞台に出る事もあります。でも最近は無になって舞台に上がれるようにもなってきました。先輩達に言わせたら、まだまだの私でしょうけれど、私の中でも年齢を重ねるによって、多少なりの変化はありました。

例えば私はこれまで、舞台に出るまでには綿密に役作りをして、舞台に出る時は「こうしよう」と決めて出ていましたが、最近ではそこを踏まえた上で、舞台に出る瞬間の自分の心そのままで出たくなってきたのです。その瞬間がやってくるのが自分でも楽しみなほど、自分がどんな気持ちになるのかさえ、計り知れないような…心が自由になっていくのを感じます。これが、演技ではなく本物の心なのかな?とおぼろげに思ったりしています。
今回の“スペイン”も同じでした。悪魔の手下だから、ず〜っと睨んで踊っても良いし、王子を騙す事に自信がみなぎっているから、満面の笑みで踊ってもいい。男性と目が合った時、誘惑するように見ても良いし、男を見下して自分だけが輝くように睨んでも良い。笑う事ひとつとっても、冷ややかに、派手に、微笑、嘲笑、色々ある。睨むにしても、恨みと悔しさは違う。そういうその場で湧いてきた気持ちをそのままのせる勇気を持てるようになったのは、自分でも変わってきたところだろ思います。だからパートナとのアイコンタクトはとても大事、パートナーによって、自分が変わるというのも、そういう所から来ているのだと思います。だから、眼差しや目の表情を誉めて下さるととても嬉しい。そこに私がちゃんと居たんだと思えるから。例え、瞳の見えない位置に座っていらっしゃる観客の方にだって、そういう目の力は届くと信じています。

子供の頃に見た、森下洋子さんのドキュメント番組で聞いた、洋子さんの言葉があります。「ジゼルをやる時、どう出ようかな?って考えて出ちゃダメなのよ」と。「え?何も考えないの?」と、その時は全然意味が分からなかったけれど、何十年か経って、今ようやく分かるようになりました。

若い俳優さん達も、私が経験してきたように、これから様々な舞台を踏んで、感性を敏感に刺激して成長していくのを見るのも楽しいものです。欣兵衛くんや遠藤くんがどんな俳優になっていくのか、今その若葉を温かく見守って、永遠に落ちない青々とした葉となって風になびき、陽の光を浴びて輝く日が訪れるのを、心から楽しみにしています。彼らに限らず、バレリーナを夢見る少女達、ダンサーに憧れる少年達。そして若いダンサー達も、心と耳と目を素直に開けて、自分の未来を築いて欲しいと思います。このように、ダンサーや俳優が成長していくって素晴らしい事ですよね?ダンサーや俳優に限らず、どんなお仕事をしている方も同じでしょう。人生の経験が人をより深く魅力的にする。若さも美しいけれど、歳を重ねたからこそ発する事の出来る魅力に溢れた方に、私はとても興味があります。
前にもどこかで言ったけど、私もうーんとチャーミングな笑顔のおばあちゃんになりたいな♪でも私はまだまだ未完成!後輩のみんなに追いつかれないように、感性を磨いて、人としてちゃんと生きて、これからも偉そうにデーンと構えるぞ!ナンテネ。偉そうにする必要はないだろうて…( ;^^)ヘ..

明日から始まる「イメージの劇場」の『テンペスト』は、25日まで目白駅の近くの“シアター風姿花伝”で上演されますので、興味のある方は是非ご覧になってみてください。
http://www.image-theatre.com/

それから東京バレエ団では、3月末から4月上旬にかけて行われる『ベジャール・ガラ』公演のためのエキストラさんを募集しています。詳細は東京バレエ団のHPをご覧下さい。
http://www.nbs.or.jp/
お待ちしています!