1月20日(火) 《チーム・スペイン》
今年最初の舞台が1月16日から3日間、東京文化会館で行われました。演目は『白鳥の湖』。ミラノ・スカラ座バレエ団のロベルト・ボッレさんを招き、東京バレエ団の吉岡美佳と遠藤千春が日替わりで主演しました。
今回の公演では、私は3幕の“スペインの踊り”一曲の出演だった事と、2月に予定されていたモーリス・ベジャールさんの新作『今日の枕草子』にかわって上演される事になった、彼の作品『中国の不思議な役人』のリハーサルにも平行して参加していた事から、『白鳥』のリハーサルには出られない時もあり、団員の皆とは少し距離を置きながら本番を迎えました。
千春や美佳ちゃんは早い段階から溝下司朗先生の指導を個別に受けていましたし、群舞も友田弘子先生を中心に、細やかな指導を受けていたようです。終演後、コール・ド・バレエ(群舞)が良くなったとの声を沢山聞けて、とても嬉しかったです。群舞が作品の良し悪しを決めると言っても過言ではないと、私は常々思っているので、それは嬉しい事でした。今年は11月にも『白鳥』の舞台があるので、高いレベルからスタートして、更に美しく舞うことが出来るように、若いダンサー達には、それまでの公演を大事に踊っていってもらいたいです。
『白鳥』は何と言っても女性ダンサーは心身共にとても過酷な演目なんです。殆どのダンサーが4幕全てに出演しているから、休憩中は着替えるだけで、実際には休めていませんし、ポアント(トゥ・シューズ)からキャラクターシューズ(ヒールのついたブーツ等)、そして終幕にはまたポアントと、履き替えるだけでも一苦労。一番大変な古典作品と言っても良いでしょう。それを3日間で4公演踊りきった仲間に、心から労いの言葉を掛けたい気持ちです。
美佳ちゃんは自分に一番合っていて得意とする演目である事から、安心して見ていられました。彼女の自分の体への探究心はとても深く、尊敬に価します。千春には時々「どう?」と様子を聞く程度でしたが、舞台に出てみないと分からないという感じもあったようです。でもそれは然り。『白鳥の湖』を主演するって、やはり特別な重さを感じるものなのです。2人共、舞台ではそれぞれの思いを織り込んで踊ったと思いますが、美しい踊りは甲乙つけがたいほどだったと思います。美佳ちゃん、千春、お疲れ様でした♪
ボッレさんは私が言うまでも無く、とても端正なダンサーです。長身で素敵だけど、笑うとあどけない表情になり、派手な存在感ではないけれど、とても真摯にバレエに取り組む姿が魅力だと思いました。舞台でのサポートも丁寧なのが見て取れるほどで素敵でした。彼は自分から団員に絡んでくるタイプではないし(マラーホフさんは特別です(
;^^)ヘ..)たまたまレッスンの時には隣のバーを使っていたので、最終日に声をかけてみました。「疲れていませんか?」。すると彼は「ん〜(頷くように)、でも大丈夫。」「今日が最後だからね!」と励ますと、目を丸く見開いて「うん、そうだね!」と深呼吸をするように笑顔を見せてくれました。次にやる演目は何か、次に踊る古典作品は何かなど逆に質問され、そばに居た志織(佐野)ちゃんの助けをもらって何とか返しました。『春の祭典』は「サークル・ド・プランタン」。『ドン・ジョヴァンニ』はそのまま。『中国の不思議な役人』って?「チャイニーズ…?」違ーう!…私の語学はその程度でした(T-T)
そしてお待たせしました!我が《チーム・スペイン》。この名前はBBSである方が付けて下さいました。他の皆さまも気に入って使って下さっているので、日記のタイトルにさせて頂きました(^o^)
この“スペインの踊り”を踊るようになったのは、入団して数年後でした。舞台には立てなかったけど、アンダースタディ(控え)として、先輩に細やかに指導して頂いたり、舞台のためにフラメンコを観に行くなど、役について考え始めた、最初の役でした。当時バレエ団にいらした先輩に、「スペインって、どんな国なんですか?」と伺うと、「燦々と降りしきる太陽の下で汗を流しながら、熱い感情をグッと胸に秘めて踊るような民族だよ」と話して下さったり、実際のフラメンコの舞台からは「情熱」や人間の生きる「力強さ」のようなものを感じた覚えがあります。勿論、イメージカラーは「赤」です。
でも更に、東京バレエ団のスペインの踊りは“ロットバルトの手下”という設定。悪魔のいちみなんです。そこがまた楽しい!カラボスを踊る前に、私は若いうちから睨み、流し目、嘲笑の練習はしていたのですね…。若いうちから先生方にはソッチ系だと見えていたのでしょうか?純真な少女だったのに…のに…。。。
未だに忘れられない先輩の言葉があります。一生懸命悪役を演じていた時、「幸江ちゃん、踊りたいんだよね?」と、一言聞かれた事がありました。その時は当然のように「はい」と答えたけれど、聞かれた時は意味が分からなかった。でもすぐに一生懸命やっていても、見えなければ意味が無いのだ、伝わるように踊ってこそ演技なのだと気付かされました。若いから出来ない、分からないからこれで精一杯だと、どこかで甘えていた自分が先輩には見えたのだと思います。そしてそう注意してくれた先輩には、今でもとても感謝しています。
それからカラボスに出会い、他の役での扇子使いも増え、赤い口紅が似合う年齢にもなり?何年もかけて熟練されてきた役と言えると思います。未だにスカートの使い方や、右手に持った扇子を床に着けるように上体を後ろに反らせたりするのは簡単な事ではないし、長いスカートで見えないからといって、足の動きを疎かにすれば一発でスカートに足が絡まって転倒するという危険性もある踊りです。オディールを「姫様!」と守り立てるのも、ジークフリート王子を「まんまと騙されたな!」と高笑いをして去るのも《チーム・スペイン》。3幕に必要不可欠な存在だと思って演じています。一緒に踊るのも、大島由賀子、木村和夫、後藤晴雄、芝岡紀斗と言った長身のソリスト陣。悠然と華やかに美しく、咲いて散るバラのように(どこかで聞いた?)舞台に在りたいと思っています。皆様も、客席から一緒に高笑いをしてみませんか?これで貴方も、《チーム・スペイン》の仲間です。
(VーV) フフ
今回は特に沢山の感想を聞かせて下さってありがとうございました。
終演後のアッサンブレ会員の方との新年会も楽しかったです。今年は元気な姿を皆さまにお見せ出来るよう、精一杯頑張りますので、応援していて下さい。
よろしくお願い致します! |