12月5日(金) ギエムとの旅公演

東京公演の翌日、東京バレエ団は北海道に飛び、11月5日札幌、7日静岡、8日福岡、9日高知と4箇所を周りました。演目は東京公演の『春の祭典』『火の鳥』『ボレロ』に加えて『ギリシャの踊り』『白の組曲』、ギエムのソロ『ルナ』でした。

札幌では着いた日に女性5人でおすし屋さんへ行き、海の幸を堪能しました。実はくるくる回るおすし屋さんだったんだけど、ホタテ貝は目の前で貝を開けて握ってくれるの。各々好きな物を戴きました。ちなみにお皿の数は…私が一番多かった。。。
公演は『白の組曲』『ルナ』『ギリシャの踊り』そして『ボレロ』。私はこの日が一番ハードな日で、『白の組曲』では“テームヴァリエ”と“シガレット”。『ギリシャの踊り』では“ハサピコ”のパ・ド・ドゥを踊りました。これはどれもトゥシューズを履いてテクニックを見せなければならないので、かなり神経を使います。今年は舞台が少なかったし、東京公演ではトゥシューズを履かなかったので、そのギャップは体にしっかりとあってとても苦労しました。音楽が鳴って振り付けをこなせば踊れるかと言うとそうではない。その作品ごとに使う筋肉が異なるために、踊りこまなければ安定した踊りをする事は出来ないんです。だからこそ、東京公演中に劇場に残って晴雄くんとパ・ド・ドゥの練習をしたんだけど、それでも思ったようには踊れませんでした。でもそれはどこか失敗した訳ではなく、無難に踊れてしまったからこそ感じたものでした。点数で言えば50点のような、良くも悪くも無い舞台というのが私は一番嫌なんです。納得出来なかった原因はハッキリ言って練習不足。でも実際、練習する時間も場所も東京公演中はほとんど無かったし、東京は東京で集中するべき作品があった。けれどやはり練習出来なかった付けは舞台に現れてしまったのです。こういう時、コンスタントに踊れるダンサーはすごいと思う。けれど私はまだまだ出来ない。反省の残る舞台になりました。
終演後は札幌に住む友達と半年ぶりに会って食事をしました。互いの仕事の事や恋の話し…なんかもしながら、楽しい時間に心癒されました。悔いてても仕方ない!ツアーは始まってしまったけれど、上り調子で頑張るぞ!!
翌日、新千歳空港からは実家と弟夫婦に蟹を送り、自分には巨大ほっけと、ジャガイモとさつまいもを掛け合わせたという“栗じゃが”(さつまジャガじゃないの?)2キロを買って帰りました。重たかった〜^^;

気を取り直して7日は静岡公演。『白の組曲』『ルナ』『火の鳥』『ボレロ』で“テームヴァリエ”と“パルチザン”を踊りました。『白の組曲』で“シガレット”を踊る美佳ちゃんを舞台袖で見ていたら、シルヴィが私に寄って来て「ここはもっとこうだ、音のとり方はこうした方が良い」と、アドバイスしてくれました。彼女もオペラ座時代、この作品は踊っていたので私に限らずみんなに声をかけてくれました。私へのアドバイスを終えて「他のソロを踊った子はあの子?」と少し遠くに居たダンサーを指差して聞かれたので、舞台袖は暗くてシルエットしか見えなかったけど、多分そうだと思って私は「そうよ」と答えました。ところがシルヴィが声をかけたダンサーが振り向くと、人違い!もっと若い群舞の女の子でした。私は慌てて飛んで行き、「ごめん!違った!今呼んでくるから…」と、舞台袖で一騒ぎ。シルヴィも「え!違うの?」と私の手を取って逃げる恰好をして、周りのダンサーを笑わせていました。カズくん(木村)の踊る“マズルカ”の時は袖に置いてあるバーに片足を乗せながら、表情を男性っぽくして、上半身だけを動かしてアクセントをつけるマネをしたり…シルヴィはとても明るかった。でも彼女がそういう事をしても、品があるから悪ふざけには見えない。舞台裏でのそんな姿も彼女の魅力の1つです。
終演後は名古屋に移動。名古屋泊で、翌日福岡へと乗り込みました。

8日の福岡公演では『白の組曲』『ルナ』『ギリシャの踊り』『ボレロ』。昨日アドバイスされた“テームヴァリエ”と“シガレット”、そして『ギリシャの踊り』では女性達の群舞を踊りました。でも“シガレット”の音取りにどうしても疑問が残っていた私は、MDウォークマンを持ってシルヴィの楽屋に行き、イヤホンから一緒に音楽を聴きながら再確認させてもらいました。そんな時でも彼女は自分がやっていた事を中断して、私が納得するまで軽く踊って見せてくれます。バレエを愛し、良い舞台にするためには何をおいても協力してくれる。私が言うまでもないけれど、彼女は本当にプロフェッショナルです。この頃には私の体も自由に動かせるようになっていたので、この日の舞台は楽しかった。シルヴィ、どうもありがとうございました。

そして最終日、9日の高知では『春の祭典』『ルナ』『火の鳥』『ボレロ』。私は“パルチザン”だけだったので、早々に準備をし『春の祭典』も『ルナ』も、舞台袖から見ていました。シルヴィの『ルナ』は久しぶりに見たけれど振りが少し違って見える部分があった、と言うより自然な動きに見えたのかも知れない。まるで即興かのように体が自然に流れていくような、音楽を細部まで感じているような踊り方はもうシルヴィだけのもの。これは毎日見ても飽きないと思いました。いつもは『ルナ』の時間は次の作品への準備をしていたから、見られなかったけど、最後の1回が見られて良かった。シルヴィは本当に力が抜けて、バレエを愛する気持ちが伝わるようになったと思いました。今年の『三つの愛の物語』や世界バレエフェスティバルでの様々な作品から、“何かを観客に伝えたい”という気持ちが強く出ている気がしていました。これからどんな女性になっていくのか、とても興味があります。チャーミングで、時にはいたずらっ子のような笑みを見せるシルヴィ、ダンサーとしてとても強いけれど、それが自然に見える姿は素敵だと思いました。また会える日を楽しみにしています。

最終日の夜は太田美和ちゃんとカツオを食べに出かけました。偶然隣の席には志織ちゃんと美佳ちゃんもやってきて、更には後輩達も。その後輩の中には私のそっくりさんと言われている吉川留衣ちゃんも居ました。彼女は去年入団してきたんだけど、入団するや否や「幸江さんに似てる」と話題だったそうです。私は今男性クラスを受けているので、一緒にレッスンする機会が少ない為に、新人ダンサーと顔を合わせる事が殆どないので、気が付かなかったけれど、札幌へ飛ぶ羽田空港のロビーでたまたま近くに座った時に改めてみんなに言われて「ん?似てるかも!」と思いました。どうでしょうか?下の写真で見比べてみてください。

短かったけれど、ツアーもこれでおしまい。次はもっともっと日本全国を周りたいな♪
日中でも、札幌ではマフラーと手袋がないと寒くて歩けなかったけど、福岡では半そでで良いくらいの陽気で、日本は温暖の差が激しい事を実感しました。どの場所でも1時間の散歩をしたから、その土地の空気をいっぱい吸い込んだ。散歩は本当に気持ち良いです♪散歩が私の健康法かな?でも、恐ろしく方向音痴な私は、最初の角を右に曲ったら全部の角を右に曲る事にしています。だから同じところをグルグルと…でないと、劇場やホテルに戻って来れないんだも〜ん( p_q)

各地で舞台を観に来て下さった皆様、ありがとうございました。またいつかお会いしましょう♪

左の写真は新幹線で移動中の様子。真ん中は楽屋のケータリングのコーヒーと差し入れに手を出す私。右は楽屋にお手伝いに来てくれた留衣ちゃんです。