9月5日(金) 愛しい後輩たちよ

クラブアッサンブレの会報で本人からの知らせにもあったように、先月いっぱいで早川恵子ちゃんが退団しました。そして6月には吉田和人くんと山崎明子ちゃん。私はこの3人が特に好きなダンサーだったから、とても寂しいです。

先ずは和人についての思い出から振り返ります。彼は『THE KABUKI』の伴内。『ドン・キホーテ』のガマーシュ。ベジャール版『くるみ割り人形』のビム。『白鳥の湖』のピエロ。『眠れる森の美女』のカラボスの従者や長靴をはいた猫など・・・個性のハッキリした、高度なテクニックを必要とする役どころを、チャーミングな立ち姿で作品に膨らみを与えてきた人だと思います。特にガマーシュは私の大のお気に入りで、和人見たさにリハーサルを見学する事もあったほど。何とも愛らしく、絶妙なボケっぷりが大好きでした。でも普段の和人はどちらかと言うと大人しく、派手なタイプではないけれど、演技となるととてもクリアで説得力があり、可愛らしい面を出す事の出来る貴重な人材でした。先輩からも後輩からも好かれ、いつも笑顔で話してくれるけど、自分が踊っている時はとても厳しい表情をして悔しがったりする事もありました。怪我が続いた時も、殆ど弱音をはく事無く歯を食いしばる姿は男らしかったな♪
そして、『眠れる森の美女』の“カラボス一族”を長年一緒に踊ってきたけど、リハーサル中の彼はいつも周りに気を配ってくれて、和人が居るとやんわりとした中にもピリッとしまるような、不思議な空気をかもし出してくれていました。舞台を振り返ると、私は彼の笑顔に助けられつつ、引き締まった表情に集中力を分けてもらって舞台に出ていた気がします。
彼は山崎明子ちゃんと寿退団♪現在も二人で力を合わせて、元気に頑張っていると思います。明子ちゃんとは『THE KABUKI』で共演(?)。遊女役の私の着物を舞台上で脱がせる黒子の役でお世話になりました。これまでも、彼女の舞台での笑顔はとても輝いていて踊りも柔らかく、コールドの中に居ても私は目を引かれていました。彼女のように楽しそうに踊る人が私は好き。明子ちゃんからは、踊る喜びが見えるんです。そんな彼女もやはり自分には厳しい人で、由良の助と伴内の絡みの間に、着物を脱がせてスタンバイしなければならないとう、プレッシャーの重い黒子役をやっていました。私も以前に黒子役の経験はあったので、その大変さは痛いほど良く分かりました。本番通りのリハーサル(ゲネ)では、私は様子を知らせるために、わざと一切手伝わず、明子ちゃんのやり方を見守っていました。すると、緊張と焦りで彼女の手は振るえ、思うように紐が解けません。「まだ大丈夫だよ」と声はかけたけど、私は動かなかった。意地悪をしているみたいで、とても辛かったけど…。そして、踊りだすギリギリの音で何とか無事に着物を脱がせてくれた。私の出番が終わってから彼女は私のところに飛んできました。「遅れてごめんなさい!」と。でも「大丈夫だよ♪間に合ったでしょ?もしも本番で危ないな〜と思ったら私も手伝うし、どうしてもダメ、と思ったら紐なんかハサミで切っても良いのよ?まだ替えの紐はあるから」と言うと、ホッとしたのと悔しさだったのか、目に涙をいっぱい浮かべていました。こんなに真面目に役に取り組む姿を見て、私は益々明子ちゃんが好きになりました。私が大好きなこの二人が結ばれて、ホント〜に嬉しいぞ!!和人、明子ちゃん。おめでとう(*^_^*)

そして早川恵子ちゃん。彼女はバレエ団に12年居ました。入団した時から美人で目立っていたけど、日常態度はとても控え目。楽屋でパニックになる仲間を「大丈夫♪」とちょっぴり高めの声で元気付けてくれる、明るい人でした。そして何よりも努力家!これはバレエ団員全員が認めるんじゃないかな?リハーサル前は誰よりも早くスタンバイして自分の踊りをチェック。リハーサル中に緊張して失敗したりすると、夜はいつまでも残ってその部分を繰り返し繰り返し練習していました。そんな姿を見ていると、自然とこちらも何かアドバイスは出来ないかと声をかけるようになって、仲良くなった感じかな。自分の事に関しては異常に心配症。でも努力した自分が支えになっていたのでしょう。本番では輝くような笑顔で、自分の全てを出し切るように踊る姿は清々しかった。それに彼女はとてもおしゃれで、何かと小物にこだわっていました。私も髪飾りを着ける位置などを決められないでいる時はいつも「恵子ちゃ〜ん、この辺でおかしくない?」と相談。すると「ん〜ちょっと横向いてみて?もうちょっと後ろが良いかも知れない」と、ちゃんと答えてくれる、私のスタイリストでもあったの(笑)。アッサンブレの会報では文才も披露。真面目で人当たりが良くて明るい、本当に素敵な女性です。本人曰く、『白の組曲』が一番思い出に残っているとか。初めてソロの役をもらって苦しんだ演目でもあり、“白物”が好きな彼女が一番好んだ作品でした。これからは、「ファンの皆様と共に客席で一緒にバレエ団を応援しましょう」と言うメッセージをもらいました。

始めのうちは、後輩が自分より先に辞めて行くのはとてもヘンな感じがしていました。私も入団して今18年目。何人もの後輩を見送ってきたけど、今回は特に近い存在が辞めてしまって寂しいです。でも、辞める事を考えた時期、辞めるまでの時期は本人達にもそれぞれの思いがあったと思うので、笑顔で見送ってあげたいと思っています。これで終りじゃないもんね。これからはもっと近い存在となって繋がって居たい。私は、退団してから仲良くなった後輩が多いんですよね。。。いつでも家に来て、また飲んで語ろうね♪

和人、明子ちゃん、恵子ちゃん。お疲れ様でした。また会いましょうね (^-^)/