5月22日(木) カラボスの思い出

さあ、いよいよカラボスについて話す時がやってきました!なんて、大袈裟だね(笑)でもカラボスについては、話し始めたら終わらないと思うくらい、沢山の思い出とこだわりがあるんです。今日は今までの思い出話を少々。

私が初めてカラボスを踊ったのは8年前。あの時に演じる事の楽しさを知ったと言って良いほど、舞台にもっと長く居たいと初めて思えた役でした。メイク、衣装、緑がかった照明、舞台上の貴族や妖精達そして音楽。全てが私の怒りの素になりました。本番を迎えるまで、司朗先生はとても細かく指導して下さって、目の使い方、間の取り方、歩き方、手の動かし方、本当に全て。先生からの注意を全てやりこなせば必ず成功すると自分を信じる事が出来るくらい、何度もリハーサルをして下さいました。この時の舞台の成功が、私の役者としての魂に火をつけたような気がします。これは大袈裟でも何でもなく、本当にそう思う。司朗先生には今でもとても感謝しています。

それから何度か踊るうちに、自分らしさが自然と出るようになり、“井脇のカラボス”が確立されていきました。生意気な言い方をさせてもらえば、「誰にも文句を言わせない」ほどのこだわりと役作りをしていったからです。(早川)恵子ちゃんには「幸江さん、舞台がまるで自分の庭のように堂々と踊るよね?」と言われた事があるんだけど、なるほど、私の中でもそんな感じ。『眠り』はカラボスが居てこそ話の展開があるんだから、しっかり暴れなくちゃ!とイケイケなの(笑)でもある日、私は勢い余って舞台上でとんでもない一言を叫んでしまったのです…。ホントは公表したくないんだけど…そろそろ私の“男前っぷり”がみんなにバレれてきた様だから良いかな?

ずっと伏せてきたからもう何年も前の話なんだけどね?その日の舞台はアクシデント続きだったの。普通に登場して、いつものように踊っていたんだけど、何故か周りの貴族達の話す声がする。私はそれを無駄口だと勘違いして「うるさいな〜気が散る!」と先ず腹が立った。そして次に糸紡ぎの針をカラボスの従者から手渡されるシーン。でも従者が持ってきた物はナント練習用の糸が解れた小さい針だったの!そこで私はそれを見て、「これじゃねぇえええ〜(カラボス語だからね?^^;)」と怒り爆発!実は針を事前に用意して舞台に出るはずが、途中で針を持っていない事に気がついた従者は、貴族や妖精の人に「針が無い、針が無い!」と助けを求めていたのを、私が無駄口だと勘違いしていたようです。針が無い事は、妖精、貴族を通して舞台袖のスタッフに告げられ、スタッフはそばにあった針を持ってきてくれたそうです。間一髪。

そして極めつけの出来事がコレ。。。センターから下手に走りこんで二人の従者に脚をもたれるリフトがあるんだけど、その時タイミングがズレてしまって、リフトの途中で上がらないような気配を感じたの。しかもその二人の従者は頑張ろうとせず、簡単に諦めようとした。その諦めの早さに、私はもう完全にプチッとキレて、リフトされながら二人に向かって…「ぅ上げろぉ!!!!!!!」と一喝!この時の声は絶対私じゃない!カラボスさんの幽霊だよ!って思うくらい低く恐ろしい声だった。でも、そしたら上がったんだよね(笑)その声は貴族役の人や、前列に座っていた観客の方にも聞えたかも知れない。。。「あげろ!」って言ってから、さすがに自分でも「あ?私、何て事言ったんだろう???恐〜〜い(T-T)」って恐くなって、一瞬ひるんじゃった(笑)。
この時の事は、今でも事あるごとに語り継がれ、「幸江さん“上げろ”事件」として、バレエ団の忘年会の時などの話のネタに良く使われています。その時の2人の従者役のダンサーは「ダメだと思った瞬間に、三途の川が見えたんだけど、幸江さんの声で川を渡らずに戻ってこれた」「意識が遠のいて行った」なんて今ではのん気な事を言ってます。でも…いくら役に入ってたって「あげろ!」はないよね…(;´д`)
あ〜話しちゃった。まぁ、笑って下さいね?色々あった中で、最も恐ろしいエピソードでした。

今回の従者たちとは、今までに無いくらい話し合いをしてから舞台に望みました。(吉田)和人、(平野)玲、(古川)和則、そして新人の(中島)周。いずれもソリストとして立派に踊れる人たちだからこそ、もっとパワーアップ出来るだろうと思えた。私のポーズに間を合わせてもらったり、逆にみんなの振りに私の方が芝居を合わせたり。呼吸が1つになって気持ち良く踊れたと思います。リハーサルの時に休んだ人が居て、その代わりに2ndキャストの人に入ってもらったんだけど、全然バラバラでダメ。その人がどうって事ではなくて、私たち5人の呼吸が出来始めているんだと思える機会になった。とても信頼出来る従者だったよ。みんな、ありがとう。和人、お疲れ様♪

今回の舞台の事は、また次回。いよいよ由賀子の登場です!