4月10日(木) AMP『白鳥の湖』千秋楽
チケットが手に入らず、諦めかけていたマシュー・ボーン演出の『白鳥の湖』を4月6日の千秋楽公演に観る事が出来ました。主演は我が東京バレエ団の首藤康之くん!
AMPの『白鳥の湖』はこのサイトからメールを頂いていた方からビデオを頂き、観る機会がありました。アダム・クーパーの演じるザ・ストレンジャー(3幕)が魅力的で、4幕では涙が出るほど感動したので、生の舞台ではどんなにすごいだろうとかなり期待していました。でも主演の首藤くんの体の調子があまり良くない事を知っていたので、心配でもありましたが、当日はやはりワクワクし通し!席は前から7列目という近さだったので、表情を間近で観られてとても楽しかったです。そうそう、舞台上の首藤くんからも私が見えたそうです(恥ずかし…)。
首藤くんの、役に真っすぐに取り組んで踊る姿は、同じダンサーとしてもとても気持ちが良く、体の不調はまるで感じさせない集中力にも圧倒されました。体のどこかが痛む時は舞台上では忘れるものの、本人の悔しさと言ったら例えようも無いほど大きなものです。「体が万全だったら…」と私も何度悔しい思いをしたか。でも結局はケガをするのも自分の不注意と、自分を攻めるしかない。正直、首藤くんが動きをセーブしているように見えた瞬間は自分のそんな思いと重なって、心が痛かった。
3幕でのお芝居も踊りも、品のある色気が彼らしくて素敵でした。でもあれはアドリブだとか素の自分を出すといったものとは違って、演出家に細かく要求され、研究しつくされた上で出来る表現だと思った。こんなに変われるんだ?と驚くほど、いつもの彼とは違って見えました。私が思うに彼は役を自分の方に引っ張って演じるタイプで、良い意味での彼らしさが常にどこかに見えていたけど、今回のこのストレンジャーに関しては今まで見た事が無い彼の新しい魅力だと思う。女王を踊ったポーターさんともピッタリだったけど、彼女と踊るのはこの日が初めてだったそうです。本来一緒に踊る筈だったスピアーズさんはじめ、数人がケガの為に出演出来なかったとか。。。ロングランというのはやはり肉体的にも精神的にも大変なんだろうなと想像できます。
そして最も感動したのは4幕です。チャイコフスキーのこの音楽はこんなにも切なくて、壮大な、そして優しい音楽だったのかと改めて感じました。ボーンさんが「多くの古典作品では4幕の音楽が生かしきれていないように思う」と言っていたのがすごく良く分かる。舞台を見ていて、正に“感動の涙”が止まらなくなりました。こういう涙はなかなか流す事は出来ない類のものだと思うけど、本当に素晴らしい舞台だった。王子役のワードさんの孤独な様子、ガールフレンド役のチヴァースさんの弾けた魅力と切なさ、女王役のポーターさんの(60歳近いそうです!)冷ややかで情熱的な女性の魅力。そして何よりも、コミカルでもありクールでもあり分かりやすい、哲学的になる事なく観ている者の心にストンと入ってくるボーンさんの演出は万人を感動させる事が出来るものだと思いました。
首藤くんはこの公演中、客席からクーパーの舞台を10回観たそうです。クーパーはとても親切な人で、細かい部分まで指導してくれたと喜んでいました。今日久しぶりにバレエ団に来た首藤くんに、舞台を終えた感想を聞くと、「やっと慣れてきた感じ、これからもっと踊りたい。僕も4幕がすごく好き」と笑顔で話してくれました。個人的にも、首藤くんが16歳の頃から一緒に舞台に立ってきた仲間なので、最後のカーテンコールで総立ちになった観客からの拍手を笑顔で受ける姿を見て、「立派なダンサーになったんだな…」と姉のような思いで熱いものがこみ上げました。久しぶりに「ブラボー!!」って叫んじゃった。
カーテンコールの時に、舞台の上から金色の紙と、羽が舞い降りたのは綺麗だった。「SEE YOU AGAIN」の文字もありました。この『白鳥の湖』は2005年まで世界ツアーが続きます。きっとまた首藤くんもどこかへ飛び立つ事でしょう。またみんなで応援してあげて下さい!
素晴らしい舞台だったのに…最後に、残念な話をしなければなりません。
最後のカーテンコールを終えて幕が下り、しばらくしてから緞帳の向こう側では出演者達がそれぞれを労い合う拍手が聞えてきました。その時、舞台の近くに居た数人の観客が緞帳をめくり上げ、舞台の中を覗いていたのです。何て失礼な行動でしょう?一気に興ざめしました。舞台と客席を分かつ緞帳は出演者にとっても観客にとっても大切なものです。一度下りた緞帳を興味本位でまくり上げて中を覗くなんて、非常に恥ずかしい行為だと思います。近くに居た女性も「覗くなんて…」と残念そうにしていました。
出演者達からは、こんな声もあったそうです。「日本の観客はとても温かく、終演後にサインを求められる事は出演者の励みにもなって嬉しかった。しかし日が経つにつれ、服を引っ張ったりされるようになり、恐怖心さえ出てきた。楽屋を出るのが怖くて、OFFの日でも楽屋に居なければならなかったのは残念だ」と…。幸い、東京バレエ団の舞台の後、楽屋口で待っていて下さるファンの方々は非常に温かい礼儀のある方々ばかりなので、不快な思いをした事は無いのですが、このように出演者に恐怖心を与えてしまうような事は慎むべきです。日本人として節度ある態度を持って頂きたいと思いました。気持ち良く、また来日してもらうためにも…。
皆は誰のスワンを観ましたか?良い舞台に出会うって素敵ね♪
今週は東京バレエ団も『白鳥の湖』のリハーサル。1幕と2幕、4幕の練習だったので、3幕のスペインしか踊らない私は今週まだ一度も踊っていません!体がウズウズするぅ。。。 |