1月31日(金) 『ドン・ジョヴァンニ』スペシャル・バージョン

『ドン・ジョヴァンニ』はベジャールさんの作品には珍しく女性だけが出演する作品です。私が知る上では唯一かな。ソリスト達はそれぞれ何度も舞台で踊り込んできています。美佳ちゃんはしっとりと、志織ちゃんは軽快に、祐子ちゃんはガッチリと、千春はダイナミックに…。「第3バリエーション」を一緒に踊っている(太田)美和ちゃんとは普段から冗談を言い合う仲で、(早川)恵子ちゃんからは「2人とも“突っ込み”で“ボケ”が居ないね〜」と突っ込まれるほど。彼女とは踊っていてちょっとした間が合わなくても、それをアドリブで返しあえる良いパートナーなんです。コール・ドも若さを爆発(?)させて女性陣がのびのびと楽しく踊れる作品。なのに…なのに今回は謎の人物(モーツアルト?)にオイシイところを持っていかれてしまいました!!!

今回に限り、ベジャールさんからのプレゼントという事で付け加えられたソロのシーンでしたが、リハーサルの段階ではいつも「はい、この後に何か入ります…」と言われるだけで、種明かしはなかなかしてくれませんでした。その間、バレエ団のもう一つのスタジオでは、秘密の訓練が行われていました。。。他の人のリハーサルを覗くのが好きな私は(危ない?)何度か自分のレッスンの合間に、隣のスタジオとを仕切るの窓からカズくん&晴雄くんの振りうつし(ガスカールさんが振りを与えていました)を覗き見していました。あれだけ動ける二人なのに、顔を赤らめ汗だくになり、しかもかなりグロッキーになっている姿が目に入った時は「お〜、大変そう…」とこっちが冷や汗をかくほどでした。
本番の2〜3日前になって、やっと合同でリハーサルをするようになり、女性陣はそのハードな動きに、やや目をテンにしながら“暖かく”ソロを見守りました。でも…最後に全員で彼を追いかけて行くのはどうなんだろう?どう見えた?そこがちょっと謎でしたね。化粧かつらに白塗りメークとホクロ…。ギリギリまで衣装が変更になったりしていたけど、カズくん晴雄くん、本当にお疲れ様でした♪

“ドン・ジョヴァンニ”はそれぞれが持つ空想の理想の男性。歌声を聞いて「あ♪彼だわ!」と歌声のするほうへ駆け寄る。。私達の中にやってきて椅子に腰掛ける空想の彼に向かって、女性達はそれぞれ自分をアピールして踊る。。。
私のパートは誰よりも早く彼に気が付き真っ先に駆け寄るのに、バリエーションでは笑顔を見せずに踊るという矛盾があって、数年前にはじめて踊った時は「どうしてだろう?」とふに落ちませんでした。司朗先生には「冷たく踊るパート」と言われたけど、それを上手く表現できなかった。でも今はこう考えて踊っています。「さぁ、次はあなた(美和ちゃん)じゃなく私の番よ!彼は私を見ているはず。自分からアピールするんじゃなくて、彼に魅力を見つけてもらおう。でも、ちょっと彼の視線が気になるナ…。いいえ大丈夫、私はこんなに足が上がって美しいんだもん…あれ?1人で踊ってるつもりなのに、何かちょこまか動くのが居る!気持ち良く足を上げてるのに何かヘン!あ〜やっぱりこの子が邪魔してたんだ!でも…まぁ良いか♪」言葉にするとこんな感じかな(言葉にしちゃうとヘンだけどね)

私はこの作品を踊っていて、何故かいつもすごく楽しい。どうしてだろう?日記を書くに当たってちょっと考えました。答えは“みんなで踊るから”です。単純だけど、最近忘れていた気持ち良さでした。実は私は昔からみんなで合わせて踊るのが大好きなんです。入団してから長い事群舞も踊ってきたから、合わせて踊る事の大変さはすごく良く分かっているつもり。自分を殺して、前に並んでいる人に呼吸もニュアンスもポーズも全て揃えて踊らなければならない。『白鳥の湖』のコール・ド・バレエに入った時は、神経がおかしくなるほど緊張したのを覚えています。でも舞台が終わった時の充実感は格別で、周りと協力し合って感じる達成感はソロでは味わえない類のもので、その充実感が大好きです。長いツアーに出た時などは大変でした。誰かがちょっとしたミスをする、例えば肩1つ分はみ出したり、音楽と合わなかったり…そんな時は人を攻める気持ちになる事はなく、どうにかしてカバーしようとする。お互いに支え合って言わば“背景”になりきる。ツアーが終わる時には本当に団結して舞台を作ってきた事に誇りを持てて、先輩に労ってもらって涙が出る事がしばしばありました。その時と同じような気持ちになれるから楽しいのかもしれない。
隣には去年入団してきた後輩が並び同じ動きをする。手を繋ぐ。後輩とシンメトリーになって踊る。作品の中では先輩後輩関係なく、みんな同じ重さになれるのが大好きなんです。しかも『ドンジョ』は『白鳥』と違って笑顔で楽しんで踊れる作品だからね。後輩達の緊張をほぐし、普段はなかなか尊重されない立場の若い後輩達に、踊る楽しさを伝えたいなと思いました。

今年は『世界バレエ・フェスティバル』の全幕プログラムがあって、『眠り』『白鳥』『ドン・キ』『ジゼル』と女性陣の群舞の力が出せる年です。初めてソロを踊る人も居るでしょうし、初めて舞台で踊る人も居るかも知れない。みんなちょっと消極的なレッスンをしているのが気になるところなんだけど、女の底力はかなり強いはず!今年も一緒に頑張ろうね♪

最後に余談ですが、最近私はお芝居を観るようになりました。と、言ってもまだ2回なんだけど。初回では最前列の席だったせいで、役者さんが客席に降りて来て実際に私の肩に手を置き、絡まれるといった貴重な体験をしました!(恐かったよ〜)。舞台って演じるのも観るのも本当に素敵だな!と実感しています。今年は舞台芸術全般を楽しもうと思っています。演劇、歌舞伎、ミュージカル、サーカス…そしてもちろんバレエも!
明日は後藤晴雄くんの出演している演劇『奥様 お手をどうぞ』を観て来ま〜す。その感想はまた今度ね!