12月30日(月) ありがとう!2002年

いよいよ今年もあと二日。
それぞれが新年を迎える準備に追われたり、受験勉強や忘年会で忙しくしている頃だと思います。私は大掃除が終わりちょっと一息入れているところ。

2002年はとても充実した年でした。今年ほど沢山の方に出会い、支えられた年は無かったように思います。ファンの方々の励ましの言葉、友人達の応援、教師や先輩方の御指導…そして家族の愛情。一人ひとりとの触れ合いの中で、私は守られ許され支えられて舞台に立ってきました。上手くいかずに悩んだ事もあったけど、そういった周りの方々のお陰で乗り越えてきたいくつものハードルを、今は背後にしています。
来年も、これから先も…様々な高さのハードルが待っているだろうけれど、人間にはそれを乗り越える力がある事を信じる事ができた一年でした。そしてこんな私の経験や考えている事が少しでも皆様の胸に届き、踊る姿が皆様の心に触れる事が出来たら、それが私の幸せだと、心から感じています。20代の頃にはここまで感謝する気持ちって持てていなかったように思う。年齢を重ねるって素敵な事ですね。。。

私は28〜9歳になった頃「早く30歳になりたい」と思っていました。その頃の私は20代前半にありがちな将来への不安や悩みをある程度克服し、自分のいきたい方向に歩み始めた時期だったので、将来の自分が楽しみだったのだと思います。バレエでも演じる事の楽しみを体感しダンサーというよりも演技者としての魅力にとりつかれていました。体力も気力も充実した いわゆるダンサーとしての“良い年代”の始まりだったのでしょうね。その時から約5年という月日が流れ、今でも体力の衰えを一切感じる事なく、“舞台芸術”としてバレエを捉え、人としてバレエだけではなくもっと広い目で人生を感じたいと思うようになりました。
教師として生徒と関わる事で、その人格形成の一部を担っている事の責任の重さと、人生に喜びをもたらせてあげる事が出来る誇り。親友達に支えられながらも、彼女等にエネルギーを分けてあげられる喜び。娘として両親や親族の暖かい愛情に守られているこの安らかな気持ちを 感謝に変えて踊る幸福感。そして大切な人に対する愛情。これらが年齢と共に深く大きくなっていくのを感じています。まだちょっとコレを言うのは抵抗あるけど・・・「早く40代に…」ってやっぱりまだ早いね!(笑)まだまだ30代にすべき事が沢山ある!39歳になった時、そう言える人生だったら良いな。(まだまだ先だけど!?)

辛かった事を思い出せばどうしたって後ろ向きになります。だから辛かった出来事はその時に必要不可欠だった“人生の栄養”なんだと、私は思っています。その時は「何で私だけ…」って落ち込むけど(実はかなり長時間落ち込みっ放しの気があるのですが)それは神様が与えて下さった人生に必要な“試練”であって、必ずその試練と共に解決策も与えて下さっている。その人が本当に潰れてしまうようなものではなく、乗り越える力があるからこそ与えられたのだと思えば、投げやりになるとか逃げるとか、ましてや自殺なんてしてはならない(出来ない)事だと思えます。(これは宗教の話しとして聞き流さないで欲しいのですが)試練=栄養なんだもんね?嬉しい事が多かった人、悲しむ事が多かった人、本当に「ジンセイ、イロイロ…」ですよね?(某ゲスト教師の口癖です)
一緒に前向きに進んで行きましょう!私もこれからも、一つひとつ真剣に取り組んでいきたいと思っています。

最後に余談ですが、左の写真の説明を…。バーに下がっているのはリハーサルで履いていたトゥシューズ。一番手前の白っぽいのがトゥシューズを履く時に足の先に詰めるトゥパット。トゥシューズは一度に十何足も用意し、役や踊りによって履き替えます。履き替える事で汗を吸った靴を乾かし、先が柔らかくなるのを防いで長持ちさせるのです。先が柔らかくなると足の指が直接床に触れる感覚になり、痛くて立てなくなって捨てなければなりません。海外のプロダンサーと違って靴を支給されない日本人ダンサーの辛いところ…。靴先にニスを流し込んだり、マメに履き替えることで靴の寿命を延ばすのです。あるダンサーはこの乾かした靴を「燻製」と呼んでいたっけ(笑)
一番奥が水分補給用のペットボトル(中身はお茶が多い)未だにレッスン中に水分を摂るのを耐えるのが美徳とする空気もありますが、私は水分の摂り方も学ぶべきだと思っています。水分を摂るのを我慢したって、何も良い事はないと思うのですが…。
その左隣がチョコレートやキャンディーの入ったポーチ。これは重要!踊る前にエネルギー不足だと思ったらポイッと口に入れます。今は黒砂糖飴がお気に入り、でも食べながら踊ったりはしませんよ?念の為。右の四角い物体はストレッチで使用している木。そして左は来年履こうと思っているまだ紐を縫い付けていない新品のトゥシューズです。新品の靴はサテンの布が綺麗で良い匂い♪(ヘンかな)先ず足を入れ左右を決めます(トゥシューズは左右が同じ造りなので)そして立ったまま歩いたりして自分の足の形に馴染ませます。それからその靴の性格を探ります。性格の良い子、悪い子が居るんです。性格の良い子は私の足の形にすぐに馴染んでくれる子で、悪い子はとても頑固でかたくなに馴染んでくれない子。一度に何十足も買うのでペアを変えてしまう事もあります。それから私はその靴に名前を付けます。例えばこの靴は“A”とか“3”とか“☆”とか、その時の気分でアルファベットだったり数字だったりマークだったり…。人によっては履き始めの日にちを入れたり、そう言う事を全く気にしない人も居て面白いですよ。これまた、あるプリンシパル・ダンサーは製作会社の違う靴を左右混ぜて踊る事もしばしば…右にロシア製、左にイギリス製とか、これはスゴイでしょ?(笑)
普段はこんなものを持ち歩いてレッスンやリハーサルをしています。靴、水分、糖分、ストレッチグッズ、それからタオルにレオタード、ウォーマー類…私の七つ道具かな?

この一年間、暖かく見守って下さり、本当にありがとうございました。来年も皆様の心に届くような舞台をお届け出来るよう、精一杯頑張ります。
2003年が皆様にとって、実りのある良い年となりますよう 心からお祈り申し上げます。
どうか良いお年をお迎えください。

2002年   井脇 幸江