11月22日(金) 帰ってきた『ドン・キホーテ』!?

今回の東京公演では、「初演の時のあの興奮を上回るものにしなければ…」といった雰囲気が団員達の間にはありあした。それは神奈川公演のあと、振り付けをして下さったウラジミール・ワシリーエフさんが来団され、群舞の細かい部分を中心にソリスト達の演技についても新たな振りを与えて下さったからです。
自分たちでいくら練習を重ねても、振り付けをした方の一言の重さは計り知れないものがあります。特に群舞は芝居が目立ちすぎると、芯の演技を壊しかねないし、ただ立ってニコニコしているのでは、居る意味が無い。コール・ド・バレエ(群舞)の難しい部分です。
私も若い頃は『眠れる森の美女』等で“貴族”の役を頂いて「自然に芝居して」なんて言われても、「ここでこうして」と先輩や監督に指定されないと、私には不可能に近かった。“貴族”の“自然”なんて、経験ないしね…。でも、ワシリーエフさんは例えば群舞に対しては「広場に居るみんなにも、それぞれ日常生活があって、色んなタイプの人間が居て良いんだよ。みんなでキトリとバジルの恋を暖かく応援する気持ちで盛り上げようじゃないか!!」とこちらの気持ちを暖め、演技したい!と言う気持ちにさせてくれる。それが少しくらいやり過ぎても良いじゃない!という心の広さを感じた。
私たちソリストに関してはもっと群舞を引っ張るように、強い個性が見たいと言われました。私と千春の役“メルセデス”には「もっとアクが強くて良い、君の踊り方に触発されて、街の女性達も色っぽくなってしまうような雰囲気を出してくれ、子猫ちゃんのようにね♪」なんて言い方をされた。“エスパーダ”には「俺が一番だ!と堂々としていなさい」と。分かっていても、何となく物怖じする部分があったけど、それが取り払われて、やりたい事をしてみようと、忘れかけていた勇気を取り戻しました。

16日は神奈川公演と同様に私は“メルセデス”を踊りました。
神奈川公演では思い切りの悪さから、技術的なミスが多々あり悔しい思いをしたので、今回はワシリーエフさんの言葉通り、もっと強く、恐れずに踊ろうと思って望めたので、気持ち良く踊れました。ミスが無かったわけではないけどね…。
では先ず、首藤くんの髪型について…。神奈川ではパックリと7・3分けでの登場で、驚いた方も沢山居たでしょう?以前の日記にも書いたけど、首藤くんと二人して「お互い、髪を切りすぎたね…」と後悔していたの。(私の場合はジプシーを踊るのには短すぎるので)カツラにする??なんて話も半分真面目に出たくらいだけど、やっぱり踊ってて飛んだりしたら、目も当てられない状態になってしまうし…考え抜いた末、決断したのは7・3分けだったと言う事なのね?でもこれが彼のお兄様そっくり!賛否両論あったけど、結局彼は今回は軽〜くまとめるだけにしていました…実は私も今回はどうするのかな〜?思っていたんです。今回のは似あってたよね?(あ、7・3も素敵だったけど……)
私の髪飾りは左の写真の通り、友人達の手作りでした。どんな風に見えたんだろう?作ってくれた二人は舞台を観に来てくれて「いつもと違った緊張感があったわ」と話してくれました。舞台衣装や装飾品等はバレエ団の物を使う事が多く、私は私物を使った事が無かったので、この髪飾りは記念すべき初めての私物。これからも大切に大切に使っていこうと思います。あと何回付ける事になるのかな?似合ってましたか?

舞台を追って話しますね。
私はいつもパートナーや一緒に踊ってくれる人達に一人一人声を掛け、握手をしています。闘牛士の8人とも同様に握手をしたんだけど、新人は表情が固く深呼吸をするように「よろしくお願いしますっ」、ソリストを踊っているような人は笑顔で「頑張って下さい」って逆に励ましてくれる。私の方は一人一人に無言で(剣、しっかり立ててよっ!!)ってプレッシャー掛けてたつもりなんだけど、みんな分かってたかな?(笑)
いざ、出番!“セギディリア”が終わり、台の上を走り出るんだけど、袖からは当然 指揮者は見えないし、舞台袖は奥の方まで観客に見えているので、音楽と同時に出るというタイミングが難しい。舞台袖では階段の下でスタンバイ、そして一気に階段を駆け上がり、走って行ってセンターで音楽と共にポーズ!(意外と余計なところで体力を使っております・笑)それに、舞台上で階段を降りるのを失敗したらカッコ悪いので、自分の出からエスパーダの出まではヘンな緊張感があるのよね。無事に上手に着けた時、何とも言えない安堵感があるもん(笑)
今回は首藤くんと細部の演技まで話し合いました。初演の時よりも舞台上で目で会話が出来て、気持ちが途切れる事なく演じられたと思います。
でも、ジプシーの場面に限ってはあまり芝居を決めずに、アドリブばっかりだったかな。芝居が長く続く場合は決めすぎると「段取り」になってしまうから、毎回のリハーサルでもその時々に動きを変えて、反応を見たり、やりにくいところを指摘しあった程度でした。いざ本番の舞台上では本当に美佳ちゃんや首藤くんと会話をしていました。勿論『ドン・キ』に関係する内容でね?念の為。

そして第二幕、私の中での事件は起こった。。。
登場してキトリ・バジル・エスパーダ・メルセデスの4人で乾杯をし、キトリがバジルにダイブした後、エスパーダとメルセデスは上手の方でほんの少し踊るシーンがあるんだけど、何を勘違いしたのか、私は次はもう首藤くんのバリエーションだと思い込み、後ろへと歩き出してしまったんです。首藤くんに「幸江さ〜ん?」って呼び止められ、「あ゛!」と思ったときはもう踊りだす音楽で、ヘンなプレパレ−ション(準備のポーズ)から流れるように、踊りへと入りました。。。この時エスパーダに対して「今夜の私もいい女でしょ…」みたいな表情をするんだけど、心の中では「首トピー!ごめん!!」と叫んでいました。いや〜久しぶりにビックリしました!
それから本当に後ろへと歩く間、客席には背を向けているので、脇に座っている仲間達に「危な〜い忘れてたよ〜」と眉を八の字に下げて、首藤くんにも謝りまくり。首藤くんは自分の踊りがあるから「全然大丈夫!」と一言残して去っていきました…。助けてくれてありがとね?首トピー。
最後の“ファンダンゴ”では彼とタイミングが合わずに、失敗したところがありました。オフバランスからピルエットするのはリハーサル時から、賭けみたいなところがあったし、衣装が重たくて腰が回せなかったのが原因。最後の最後にやっぱり悔しい思いがありましが、全体的に気持ちの途切れるところが無く、私が今回の再演に際して、最も気にしていた「全幕通して一人の女性を演じたい」と言う事については、理解して演じる事が出来たと思います。

こうして東京の初日は終わりました。
衣装、装置、特殊メイク、子役…『ドン・キホーテ』という演目には何か特別なワクワクする雰囲気があります。底抜けに明るくて、それぞれの登場人物の個性が要求される。私は古典作品の中では『ジゼル』が大好きなんだけど、『ドン・キ』もかなり好きになりました。また来年、今度は初めてゲストで上演されます。しかもステパネンコちゃん!出演してないで観たい!って思ってしまうけど、出演するとは思います。その時の話も、楽しみにしてて下さいね?(気が早すぎ)

『ドン・キ』終了後、一日の休みも無くガスカールさんと『ギリシャの踊り』のリハーサルに入っているのですが、私はここの所のハードスケジュールがたたったのか、ダウンしてしまい、3日も出遅れてしまいました。この遅れ、取り戻さなきゃ!!!

“ジプシーの女”についてはまた後日改めて書きたいと思います。
それでは、また。