8月12日(月) 映画『エトワール』

残暑お見舞い申し上げます。猛暑らしくセミが元気に鳴きまくってるけど、夜は幾分過ごしやすくなってきたよね。そのセミなんだけど!先ほど我が家のベランダで瀕死のセミくんの最期の声が…夏の終わりを感じたよ。。。私の夏休みもいよいよ後半、本格的に創作活動開始!?
先日10日、香蘭女学校時代の友人二人と渋谷bunkamuraへ、映画『エトワール』を観に行ってきました。実はまだ見て無かったんだ!みんなはもう観た?
ベジャール、キリアン、ベッシー、ルグリ、デュポン…みんな一緒に仕事した事のある人達ばかりで、彼らの語る内容も濃く、興味深かったから字幕から目が離せないのに、映像も細部まで見たいしで、息抜く暇がなくて疲れちゃった。一回も瞬きしてなかったかも(笑)でも、一緒に行った奈良裕子ちゃんは英語、高比良麻里ちゃんはフランス語が出来るので、麻里は殆ど字幕を見なかったって…。本業者の私が四苦八苦してるのに。。。あ〜情けない。

裕子と麻里は13歳〜18歳を共に過ごした仲間(香蘭女学校は中高一貫教育の為)特に卒業前の2年間は同じクラスだったので、私が大学受験をせずにバレエ団のオーディションを受ける事を「幸江は夢があって良いね」と応援してくれていた。二人とも入団当初からずっと私を見続け支え、励ましてくれる良き理解者、大切な親友なの。
裕子は旧姓が「いちかわ」私が「いわき」、出席番号5番と6番。中間や期末試験を受ける時は出席番号順に座るので、休み時間の度に私は前の席に座っている裕子の背中をトントンと叩き、分からないところを教えてもらった。彼女はおっとりしていて、どちらかと言うと天然(ボ○)の節があって、「も〜裕子は!」と突っ込まれる事が多かった。なのに高校を卒業して大学へ行き就職はしたけれど、学問の魅力に取り付かれたのか、再び勉強し始めて留学するなど、自分の足で人生を歩く強さがある。これには裕子自身も「私がね〜?」と驚いていた。
麻里は努力家でとても頭が良くてしっかり者。学生の時から一つ一つ着実に積み重ねるように生活する様子に、私は同じ年ながら尊敬していた。彼女は結婚してしばらく日本を離れていて、見知らぬ土地で苦労が多かったと思うけど、相変わらず真っ直ぐな明るい笑顔を見せてくれて、とても7年ぶりの再会とは思えなかった。
二人ともとても聡明で、芯の強さと女性らしい愛らしさのある魅力的な人。これからもずっと付き合っていくと思う。裕子、麻里…よろしくね?
(日記を読んでくれている同級生の為にミニ情報…麻里は旧姓「松田」で、裕子と麻里は“卓球部”ちなみに私は“英文タイプ部”でした)

話しを映画に戻しましょう。。
『エトワール』は現役ダンサーとして同じ立場で共感する部分と、ダンサーとして育ってきた環境の違いからくる舞台への感じ方の相違が興味深かったし、教師や引退後の話しも、近い将来やってくるであろう自分の姿とオーバーラップするものがあった。
同じ環境で育っても感じ方は人それぞれだから、一概には言えないにしても(実際に同じ環境で育ったデュポンとロモリも“孤独”について正反対の意見を述べていた)試験の連続で突き進んできたパリ・オペラ座のダンサー達の栄光の裏側にある様々な心の葛藤が見えた。と同時に私は温い世界で育ったなと思った。オペラ座のダンサーと自分を比べるのもおかしいけどね。でもそんな世界を代表するダンサー達と同じ舞台に立ち、時には組んで踊るなんて、東京バレエ団の活動はとても広く大きいと思うし、それは佐々木団長の力があってこそ。教師から学ぶ事も重要だけど、実際にそういうダンサーと触れ合う機会がある事を、本当に感謝するべきだよね。佐々木さん、面と向かっては滅多にお話ししないけれど、感謝しています。ありがとうございます!!!
ゲスト・ダンサー達と同じ空間に居るからこそ感じるものは多かった。例を上げれば、故ジョルグ・ドンさんの日常生活での静けさに、常に芸術家としての誇りを感じ、舞台は神聖な場だという事を教わったし、シルヴィ・ギエムさんからは作品へのこだわり方と根拠のある強さ、そしてその裏側には孤独感があるのを感じた。ウラジミール・マラーホフさんには会う度に子供のような明るさと人懐っこさから、人との関わりの暖かさを知り、モーリス・ベジャールさんからは作品の呼吸、生命を体に吹き込んでもらう事により味わえる、何ものにも例えようのない充実感を与てもらう事が出来た。

私は生粋の東京バレエ学校育ち。自分で言うのもヘンだけど、私の他には誰一人としてそういう人は居ない。映画の中で、オペラ座バレエ団を支えているのはバレエ学校だと言っていたが、私も本当にそう思う。そしてバレエ学校にある「プティ・ペール(小さいお父さん)」と「プティット・メール(小さいお母さん)」の制度には大賛成!この制度は、生徒一人一人に現役のダンサーが相談役として付く事で、現在の人気はアニエス・ルテステュらしい。子供の頃から厳しい競争社会に居ると心の拠り所がなくなる。精神的に強くはなるだろうけど、人格形成上良い事ではないよね。そんな時、自分の憧れの人に相談出来るなんて、最高に幸せだと思う。私は母が一般人(ダンサーではない)だから、普通に甘えられたけど、もし母親がダンサーだったら、私なら甘えようと思わなかったと思う。特に思春期はきっと反抗を続けてしまったのではないかと想像する。
「東京バレエ学校にもその制度を!」とは思わないけど、生徒と団員の交流がもう少しあっても良いかなと思っている。私が生徒だった時、団員の方に挨拶されただけで嬉しくて、お稽古から帰宅した途端に「今日ね!○○さんにおはよう、って言われちゃった♪」と報告してたし、団員になった今は生徒さん達に会うと、とても可愛いと思う。
教師一人では、何十人もの生徒の心のケアはし兼ねるし、生徒にとって教師は一人の大人。きっともっと助けて欲しいと思っているに違いない。そんな時、力になれたらどんなに良いかと、私は東京バレエ学校卒業生だからこそ尚更、強く思っている。

地方から才能のあるダンサー達が集まってくるのも東京バレエ団の良さ。でもバレエ学校の充実もこれからもっと重要になってくると思う。最近は大きな舞台で『スクール・パフォーマンス』を行うなど、ダンサーを育てる方にも力を注いでいる事は大変に喜ばしい。バレエ学校教師陣の友田弘子先生、先輩でもある佐野志織ちゃん!頑張って下さい。ボーイズ・クラスも熱心な生徒がいっぱい居るよね。一緒にオープンクラスを受けると、ひた向きさが伝わってきて、みんなの将来が楽しみです!!

映画からバレエ学校の話しになってしまったけど、本当に私はみんなの成長を楽しみにしてます。バレエ団で見かけたら、“プティット・メール”だと思って、何でも相談してね?彼氏の悩みでも良いのよ〜♪